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KORG PS-3300(復刻版)

巨大なアナログシンセが、PANDORAのステージへ

KORG PS-3300復刻版。木製キャビネットに収められた操作パネルと専用鍵盤
PS-3300(復刻版)/画像出典:KORG公式製品ページ

使用確認:2025年2月28日「PANDORA LIVE 2025 -OPEN THE BOX-」
※継続使用の期間を示すものではありません。

ステージの背後にそびえる、つまみが並んだ大きなパネル。小室哲哉と浅倉大介によるPANDORAの2025年公演には、復刻版のKORG PS-3300が1台ずつ持ち込まれた。KORG公式インタビューには、それぞれの使用機が分かるステージ写真も掲載されている。[1]

PS-3300は1977年に登場した全鍵ポリフォニック・アナログシンセサイザー。復刻版はオリジナルの3ユニット構成を継承し、49鍵全鍵発音とプログラム・メモリー、MIDI/USB接続に対応する。[2]

PSU-3301×3基による全鍵ポリフォニック構成

PS-3300は、PS-3100系の音源ユニットPSU-3301を3基と、ミキサー/ユーティリティー部PSU-3302を組み合わせたセミ・モジュラー・システム。オリジナルは48鍵、復刻版は49鍵で全鍵同時発音に対応し、3レイヤーを並列にミックスする。復刻版の最大同時発音数は49ボイスであり、3系列分の音源回路を合算した147という数値とは区別する必要がある。[2][3]

原機の発振系はオクターブ分周方式を採用。同じ音名のオクターブ間では位相が揃う一方、各音には専用のウェーブシェーパー、VCF、EG、VCAが用意される。KORGの回路解説によれば、個々の部品差がエンベロープ時間や変調量にも及ぶ。[5]

VCFのEXPAND制御と3バンド・レゾネーター

KORGが公開した原機の回路挙動の解説では、VCFのカットオフとレゾナンスは相互に影響する。カットオフを上げるとレゾナンス量が減り、レゾナンスを上げるとカットオフがわずかに下がる。また、EGによるカットオフ変調は、CUTOFFノブの設定値を上限として、EXPANDで低いEGレベル時の閉じ幅を調整する方式。[5]

PSU-3301には各2基のMG(Modulation Generator/LFO)と、3つの電圧制御バンドパス・フィルターからなるレゾネーターを装備。レゾネーターの周波数を変調することで、フォルマント的なスペクトル変化やフェーザー/ワウに近い効果を得られる。これは後段のデジタル・エフェクトではなく、音源ユニット内のフィルター回路による音色形成である。[2][5]

テンペラメント調整とPSU-3302の変調系

各PSU-3301にはC〜Bの12音を個別に調律するテンペラメント調整ノブがあり、平均律以外の音律を設定できる。オクターブごとに別の音程を与える仕組みではなく、分周構成を保ちながら音名単位でチューニングする。3ユニットを異なる調律に設定できる点も、通常のレイヤー・デチューンとは異なる。[2][5]

PSU-3302側には、S&H、全体を制御するGEG(General Envelope Generator)、電圧の変化幅や位相を調整するボルテージ・プロセッサー、信号分岐用のジャンクション端子を備える。内部結線による演奏に加え、パッチングで制御信号を各ユニットへ分配できる構成だ。[2]

復刻版のメモリー、MIDI、鍵盤部

復刻版は16バンク×16スロットの256プログラム・メモリーを追加し、USB-B、MIDI IN/OUT/THRUとSound Librarianに対応。オリジナルで別売だったPS-3010を同梱し、鍵盤は48鍵(F〜E)から49鍵(C〜C)、接続は60ピンから8ピンへ変更された。PS-3010はベロシティ非対応、アフタータッチ対応。[2][3]

小室哲哉:PANDORA公演での導入

2025年2月28日の「PANDORA LIVE 2025 -OPEN THE BOX-」では、小室哲哉と浅倉大介のセットに復刻版PS-3300を各1台配置。KORG公式インタビューによれば、導入のきっかけは浅倉がコルグ本社で試作機を試奏したことだった。小室自身は機材選定について、レイヤー数よりも、他の楽器やシステムの中に埋もれない音の存在感を重視すると説明している。[1]

同記事には、小室のパッチ設定について、ジョイスティックY軸で3ユニットのピッチベンド、SW1でダンパー効果を制御しているとする写真からの推測も掲載されている。これは本人による設定解説ではない。使用曲・パートについても、同資料では特定されていない。[1]

海外アーティストの使用例と収録作品

以下はオリジナルPS-3300の使用例。小室氏が2025年に使用した復刻版とは区別している。

本人の発言・作品の機材クレジットで確認できる使用例
アーティストアルバム/曲確認できる内容
Aphex Twin『Syro』(2014)
「minipops 67 [120.2][source field mix]」
Dave Noyzeによる「SYROBONKERS!」インタビューで、この曲に使った楽器を問われ、Richard D. Jamesが3台のPS-3300も使用したと回答。曲名と収録先は公式Bandcampで確認できる。どの音色・パートかまでは発言していない。[6][7]
Jean-Michel Jarre
演奏:Dominique Perrier
『The Concerts in China』(1982)
曲別の使用箇所は未確認
『Electronics & Music Maker』1982年6月号の本人インタビューでは、PerrierがEminent、ProphetとともにPS-3300でストリングスを担当したと説明。同号のアルバム記事にもPerrierの使用楽器として記載される。[8][9]
Maciek Polak『1977』(2025/CNC024)
曲別の使用機種は未確認
作品の公式Bandcampに、MIDI改造PS-3300とPS-3100を含む機材リストを掲載。アルバムでの使用は確認できるが、各トラックの音をPS-3300だけに帰属させる資料ではない。[10]

Aphex Twinの発言は、2014年のインタビューを保存した再録ページ[6]で確認した。Jarreの資料[8・9]は当時の記事を公開するmu:zines、Polakの資料[10]は作品の公式クレジットに当たる。

音と機能を動画で確認

Alex Ballによる英語の実機レビュー。レゾネーター、テンペラメント調整、セミ・モジュラー構成の解説と演奏デモを収録している。

投稿者:Alex Ball / YouTubeで動画を開く

見どころ:3:54 演奏デモ / 4:53 機能概要 / 7:38 レゾネーター

復刻版の試作機によるレビュー。動画内の価格・発売予定は撮影当時の情報。

主な仕様(復刻版)

復刻版の仕様[2・3]と国内販売価格の一例[4]
メーカーKORG
音源方式・構成アナログ/セミ・モジュラー、PSU-3301×3+PSU-3302
鍵盤49鍵(付属PS-3010)/ベロシティ非対応、アフタータッチ対応
最大同時発音数49ボイス
プログラム数256
主な接続MIDI IN/OUT/THRU、USBタイプB、音声出力、ヘッドホン出力
本体寸法・質量幅1,000 × 奥行245 × 高さ454 mm/21.3 kg(鍵盤部は別)
国内販売価格の一例1,980,000円(税込)/イシバシ楽器 御茶ノ水本店掲載価格[4]
確認日:2026年11月2日

仕様の出典:[3]KORG PS-3300 Specifications。旧型と復刻版では鍵盤数などが異なる。

価格は販売店の掲載例で、メーカー希望小売価格ではない。送料・納期は販売店に確認が必要。[4]

関連リンク・参考資料

関連するサイト内記事:KORG Polysix / KORG KRONOS / TONE2 ELECTRA2

資料確認日:2026年11月2日。製品画像の出典はKORG公式製品ページ。ステージ写真は上記の公式資料から確認できます。