Roland SH-3

自由な音作りを実現した黎明期シンセサイザー
使用時期:不明

Roland SH-3
image via:安く買えるドットコム

Roland SH-3は1974年に発売されたアナログシンセサイザー。

小室はTwitter上で、初めて購入したシンセサイザーは「本格的にはSH-3」とコメントしている。

小室のファーストシンセサイザーは同社SH-1000が有名だが、ジェイ・コウガミ氏とのインタビューで「衝撃を受けたテクノロジー」としてSH-3を挙げているあたり、SH-1000とは一線を画する体験がSH-3にはあったのではないか。その思いが『本格的には』の言葉に見え隠れする。

コントローラ部分が左側に凝縮された特徴的なフォルムは、ピアノ、オルガンの上に置いて演奏する事を想定しているため。このコンセプトはSH-1000と同様である。
参考:Roland SH-3a | Vintage Synth Explorer

SH-1000のようにプリセット音色は用意されていないものの、幅広い音色作りを可能にしている。

VCOは1個だが、2’、4’、8’、16’、32’の5つのフィートスライダーが並び、各フィート毎に波形と音量を設定可能、8’フィートのみLFOのパルスワイズを利用したコーラスがかけられた。
参考:SH-3A know

※フィートとは
オシレータのピッチをオクターブ毎に表したもの。パイプオルガンの管長に由来する。

また、SH-3は「サンプラー機能」を実装しているがこれは波形を取り込むサンプリングではなく、エディットした音色自体を取り込んでホールドし、自動演奏のようなものを楽しむ機能。
強いて言えばXP-50(1995年発売)あたりから実装されたRPS機能に近いかもしれない。

音色全体にかけるADSRの他、VCF、VCAにも独立したADSRを持つ。

特許の関係で回路を作り直し、後にSH-3Aとして新モデルが発売されている。
Roland SH-3 : 酒と電子音の日々によると、8’フィートコーラス、VCFの効き具合が異なるようだ。

使用時期について

今回資料不足の為、小室がRoland SH-3を購入した時期は明らかに出来なかった。
しかし、前年1973年に発売されたばかりのRoland SH-1000を大変な思いをして購入しているので、SH-3発売年の1974年にすぐさま購入したとは考えにくい。
小室は高校時代(75年〜77年)にディスコで演奏のバイトをしているので、この時期に購入した可能性がある。

また、77年2月にはイラプション、翌78年にはギズモとして活動しているので、使用していたのはこの時期ではないかと推察する。

メーカー Roland
発売年 1979年
鍵盤数 44
音源方式 VCO×1
同時発音数 モノフォニック
定価 185000円

使用アーティスト

喜太郎/ヒューマン・リーグ/ヴァンゲリス

参考資料

石橋楽器店/懐かしのキーボード