小室哲哉の下積み時代を支えたストリングス・シンセサイザー
使用時期:1982~1983年(推定)
image via:ビンテージシンセサイザーもろもろのお話
TM NETWORKとしてデビューする前の小室哲哉は、 白竜、あのねのね、原田真二、角松敏生など、さまざまなミュージシャンのバックバンドやレコーディングをこなしていた。 そんな時期の小室の、ライブでのメイン機材がこのPearl PolySensorである。
Pearl PolySensorは、ドラムメーカーそして有名なパールから1982年に発売されたストリングス・シンセサイザーである。 64種のボイスをプリメモリーし、従来のアナログシンセサイザーとは異なり、フィルターを使用せず波形を直接編集して音色をエディットできるDWS-II方式を採用。従来よりリアルな音色を作り出すことができ、独特なアタック感を持っていた。
メーカー | Pearl |
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発売年 | 1982年 |
鍵盤数 | 61鍵? |
音源方式 | DWS-II |
同時発音数 | 8音 |
定価 | 490,000円 |
●主な使用ユーザー
厚見玲衣
●中古相場
不明
●関連リンク
コメント
DWSはアナログ音源ですが、フィルターは持たず、オシレーターからダイレクトに目的波形を生成するという触れ込みでした。動作原理は公開されておらず、どのような仕組みだったかはわかりません。DWS-IIがあるということはIもあり、PK-801(73鍵セミウェイテッド), PK-701(61鍵)というのが前身で、こちらは8種類の楽器系音色を持つ8ボイスのプリセットキーボードで、70年代風の緩い音がしました。
Polysensorは8ボイス・ピアノ鍵盤で、64種類の主に楽器系シミュレーション音色(ピアノ、クラビ、ストリングス、ブラス等)がプリセットされ、1/4ほどはシンセ系のプリセット音でした。音色はほとんど操作できず、アタック/リリースタイムやEQ、ビブラート速度・深さなどを微変更できるだけでした。64エリアのパッチメモリがあり、プリセット音色番号や微変更パラメータ、出力先(8系統モノラルのどれか)を記憶しておけました。本機2台を別売の多芯ケーブル2本で接続すればレイヤー演奏でき、パッチ番号も同期できましたが、実際にケーブルが発売されたかどうかはわかりません。当時はMIDI登場直前で、YAMAHAも似たようなレイヤー用多芯ケーブルをCS70M, CP35, SK30のために出していました。カタログはもらいましたが、もう手元にはありません。
展示特価品になっていたのを少しだけ店頭で弾いたことがあり、アナログでありながら、高次倍音を含んだ高速アタックのデジタル風味音色も出せたように記憶しています。すぐにDX7が出てしまい、ほとんど売れず、廃棄処分になったものが多いと聞きました。