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YAMAHA Tetsuya's Mind Control

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実用性とデザイン性を両立した小室専用モデル

使用時期 : 1989年〜

Tetsuya's Mind Control

Tetsuya's Mind Controlは、小室哲哉専用に作られたショルダーキーボード。

YAMAHA KX5をベースにした特注モデルで、ステージで使いやすいよう大幅なカスタマイズが図られている。

KX5との違い

・ボディスイッチ部分

KX5ではボディ部分にバンクセレクトボタン、ポルタメントのツマミ等が配置されていたが、Tetsuya's Mind Controlではこれを全廃。
これらのボタンを操作するには屈み込まないと配置が見えない上、弾き手が塞がってしまうのが全廃の理由と思われる。

・ネック部分

KX5ではリボンコントローラ、モジュレーションホイール、サスティンスイッチが配置されていた。
Tetsuya's Mind Controlではピッチベンドホイール、モジュレーションホイール、音色切り替えスイッチ、ボリューム表示LEDが配置されている。

KX5のリボンコントローラはギター的な操作を象徴するものだったが、
Tetsuya's Mind Controlはキーボーディストが使い慣れたボタン類を集約し、シンセサイザー的な操作感を出した事で操作性を向上したものと思われる。

・その他

ボディ部ネック側に、音色番号表示用LEDを配置。
音色を8バンクメモリーして呼び出す事ができる。

3タイプのTetsuya's Mind Control

Tetsuya's Mind Controlにはスペック、カラーの異なる3つのタイプが存在する。

・タイプ1

1つ目は『Tetsuya Komuro Tour ‘89~’90 Digitalian is eating breakfast』『Rhythm Red TMN Tour』で使用されたシルバーのタイプで、リアパネルにロゴが入っている。
KX5の重量は3.7kgで、キーボード・マガジン 2001年11月号で谷村有美が『すごく重い』と語っているように、女性や小柄な人間には決して扱いやすいとはいえない重さだったが、Tetsuya's Mind Controlはこの時点で3kg未満に軽量化されている。

デジタリアンツアーのTetsuya's Mind Control

リズレツアーのTetsuya's Mind Control

・タイプ2

2つ目は『TOUR TMN EXPO FINAL CRAZY 4 YOU』で使用されたロゴのないピアノブラックのタイプ。
本体素材がバルサ材に変更され、重量は2kg未満とさらに軽量化された。

EXPOツアーのTetsuya's Mind Control

・タイプ3

3つ目は『avex dance Matrix '95 TK DANCE CAMP』で使用されたレッドのタイプ。鍵盤は白と黒。
コントローラが追加され、ネックが若干長くなっている。

TK DANCE CAMPのTetsuya's Mind Control

Tetsuya's Mind Controlは完全に小室専用のモデルとなっており今まで一度も商品化されていないが、フォルムの美しさや操作性の良さ(げな感じ)から、ファンの間から商品化を望む声が多い。

正式名称について

Wikipediaによると、Tetsuya's Mind Controlの正式名称は不明とされていて、次のような注釈がある。

^ TETSU MIND CONTROL、TETSUYA KOMURO MIND CONTROLなどとも呼ばれる。

今回の記事を書くまで管理人はキーボードスペシャルで目にした『TETSU MIND CONTROL』が正式名称だと思っていたのだが、デジタリアンツアーで使用したタイプに“Tetsuya's Mind Control”と刻印されていた以上は、(本体名ではなく“T-MUE-NEEDS”のようなキャッチフレーズの可能性があるにせよ)これが正式名称で、『TETSU MIND CONTROL』『TETSUYA KOMURO MIND CONTROL』等の呼称は表現の揺れではないかと考えている。

メーカー YAMAHA 
発表時 1989年
鍵盤数 37鍵 
音源方式 外部音源をコントロール 
同時発音数 外部音源に依存 
定価  非売品

 

使用アーティスト

小室哲哉
mito(クラムボン)*
*PV『SUPER☆STAR』(2010年リリース)の中でタイプ1のロゴ無しバージョンを使用。
どういった経緯でTetsuya's Mind Controlを使用したのか正確なソースが無いが、アルバム『まちわび まちさび』の収録曲『EPIC』でYAMAHA EOS B500を使ったり、こちらのインタビューで『カラオケに行くとTMを歌う』とコメントしている等、小室へのリスペクトが伺える。よって、mitoの希望で小室本人か、何らかのコネクションから『借りた』のではないかと推測される。

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